ソーシャルレンディングとは、お金を借りたいと考えている企業と、お金を投資して運用したいと考えている投資家をマッチングするサービスのことです。
ここでは、ソーシャルレンディングの概要から、そのメリット、デメリットなどを解説します。
また、おすすめのソーシャルレンディングや、選ぶ際に気を付けるポイントなども紹介します。
目次
ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは、個人で行う企業投資のこと。運用会社が個人投資家からお金を集め、その資金を元に企業に融資をします。
例えばソーシャルレンディング運営会社が個人投資家からお金を集めた後、会社に資金を利率10%で貸し出したとします。
借りた会社は契約に基づき、利率10%の返済額をソーシャルレンディング運営会社に支払います。
ソーシャルレンディング運営会社は規約に基づき、5%を報酬として受領した後、残りの5%を個人投資家に出資額に応じて分配するといった流れです。
ソーシャルレンディングのメリット
ソーシャルレンディングにはどのようなメリットがあるのか解説します。
少ない資本で始められる
最低投資額が1万円から始められるサイトが多く、新たな投資方法として人気を呼んでいます。
まずはお試しで少額から初めてみて様子を見るのも良いでしょう。
利回りが高い

長年ゼロ金利が続く中、ソーシャルレンディングの利回りは平均8%程度といわれています。
税金を考慮せずに複利計算した場合、10年以内に元本が2倍となる計算です。
財務上は健全でも創業年数が短い、あるいは借入期間が短い融資の場合、銀行からの借り入れは難しいケースがあります。
ソーシャルレンディングの場合は融資審査を厳しく行うものの、創業年数などに縛れずに審査を行うことが特徴です。
このため、銀行では融資しづらい企業でも融資を行うことができるため、高い利回りを実現しています。
好きなテーマや案件から選択できる
ソーシャルレンディングでは、幅広い企業を対象に融資を行うことができます。
地方創生や社会問題解決などに投資して、自身の興味ある分野に貢献してみてはいかがでしょうか。
また、利回りの高い案件や融資期間が短いものなどの条件で探すこともできます。
元本の価格変動がない
株式やFXの場合は市場価格によって元本が変動しますが、ソーシャルレンディングの場合には元本の価格変動が発生しません。
但し、投資先にデフォルトが発生した場合、元本割れのリスクが発生します。
初心者でも投資がしやすい
元本の価格変動がないため、初心者と経験者の間に成績に差が生じにくいのが特徴です。
少ない資本で始められることも手伝って、初心者でも比較的投資しやすい金融商品です。
保全性が高い
クラウドポート社によると、ソーシャルレンディングの貸し倒れ率は1.47%と保全率が高くなっています。
また、投資できるファンドの中には担保や保証が付帯したものもあります。
貸し倒れが発生した際、担保がある物件についてはソーシャルレンディング運営会社が債務不履行を防ぐために、速やかに担保を取得し売却をはかることが一般的です。
ソーシャルレンディングのデメリット

一方で、ソーシャルレンディングにはいくつかのデメリットもあります。
貸し倒れや返済遅延のリスクがある
貸し出しという性格上、貸出先の企業の倒産や不動産物件の運用による不採算など、貸し倒れのリスクがあります。
このときには投資額の全額、もしくは一部が戻ってこないため、投資家は大きな損失を被ることになります。
また、貸出先の企業の資金繰り状態によっては返済遅延のリスクもあります。
返済遅延リスクとは、融資先企業の返済が期日までに間に合わず、満期までに償還できない状態を指します。
返済遅延が続き、そのまま貸し倒れに繋がるケースもあるので注意が必要です。
今回紹介するサービス中にはありませんが、実際に返済遅延が起きているソーシャルレンディングサービスもあります。
元本保証の商品ではないため、余裕資金で投資するようにしましょう。
一気に大幅な利益が狙えない
株式やFXなどでは価格変動があります。このため、価格が急騰すると大幅に利益を上げることも可能です。
また、レバレッジをかけることができるため、少ない投資額でも大きく儲けることができます(逆に、大きく損をすることもあります)。
ソーシャルレンディングには元本に価格変動がないため、大きく損をすることはないものの、大きく儲けることもできません。
このため、コツコツと安定的に資産運用をしたい人に向いた金融商品といえます。
流動性が低い
企業への融資という性格上、一度融資を行うと満期を迎えるまで元本を引き出すことができません。
このため、余裕資金で行うことが大切です。
口座の管理を複数行うことも
ソーシャルレンディングでは投資したい企業があった場合、各サービスごとに口座を開設する必要があります。
別の運営会社で投資したい企業が見つかった場合、再度別の口座を開設しなければならないため、有望な投資先が複数あるサービスを利用することが重要です。
ソーシャルレンディングの市場規模
日本ではソーシャルレンディングの市場規模はどのように成長しているのでしょうか?
クラウドポート社によると、2016年では533億円だった日本のソーシャルレンディング市場規模が、2017年には1,316億円と2.5倍に拡大しており、今後も市場規模が拡大することが予想されています。

2014年 143億円
2015年 310億円
2016年 533億円
2017年 1,316億円
日本では2008年にmaneo社が個人向け融資を始めましたが、貸し倒れ率が高い事もあってうまくいきませんでした。
その後、企業向けへの融資に切り替えたところ、市場が急成長することになりました。
ちなみにアメリカや中国などのソーシャルレンディング市場は日本と比較してもかなり大きく成長しています。
アメリカでは2025年には15兆円を超えるだろうとのレポート予測も出ているようです。
ソーシャルレンディング紹介一覧
ここでは、おすすめのソーシャルレンディングサービス7選を紹介します。
「総合系」、「事業性資金」、「不動産系」、「地方創生」、「社会問題」に分けて見ていきましょう。
総合系
ソーシャルレンディングでの総合系とは、特定の一つの業種にこだわらず様々な案件を取り扱っていることをいいます。
取り扱い案件の数も多いため、一つは総合系のサービスに口座登録をしておいても損はないでしょう。
maneo(マネオ)

maneoは冒頭でもご紹介した通り、日本で初めてソーシャルレンディングの運営を開始した、業界最大手の老舗サービスです。
成立したローンの総額は1,600億円以上、会員数は85,000人以上と他のサービスよりも頭一つ抜けているといえるでしょう。
maneoで主に扱っているのは、不動産や企業への貸付です。
また、maneoでは提携しているソーシャルレンディングのサービスが複数あり、maneoに会員登録する事で提携サービスへの登録も自動で行なってくれるメリットもあります。
以下のように会員ランクもあり、上位会員だけの非公開案件もあるようです。

項目 | 内容 |
---|---|
対応業種 | 不動産投資、中小企業など |
手数料 | 投資口座への振込み:お客様負担 銀行口座への払い戻し振込み:お客様負担 |
ポイント | 日本で初めてソーシャルレンディングサービスを提供した老舗最大手 |
企業情報 | maneoマーケット株式会社 |
設立 | 2007年8月 |
SBIソーシャルレンディング

SBIグループが運営するソーシャルレンディングサービスです。
2011年3月に日本の大手金融グループで初めてソーシャルレンディング事業に参入して以来、順調に融資残高が増えています。
不動産投資、IoT、再生エネルギーなど、幅広いサービスに対応しています。
投資費用は1万円から投資可能。利益は毎月分配となっております。
内容 | |
---|---|
対応業種 | 不動産投資、IoT、再生エネルギー、バイオなど |
手数料 | 投資口座への振込み:お客様負担 払戻し費用:300円+消費税・地方消費税 |
ポイント | 2019年4月末時点で融資残高331億円突破、投資家登録完了数は34,265人と大手 |
企業情報 | SBIソーシャルレンディング株式会社 |
設立 | 2008年1月 |
クラウドバンク

クラウドバンクは日本クラウド証券が運営するソーシャルレンディングサービス。1万円からの小規模投資から大型投資まで、幅広い投資が可能です。また、分配は毎月行われます。
太陽光発電などの再生エネルギーに関する投資も行っています。
現在までに回収率が100%、デフォルトが0%と審査が優秀なサービスであるといえるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
対応業種 | 不動産投資、中小企業、再生エネルギーなど |
手数料 | 投資口座への振込み:お客様負担 |
ポイント | 応募総額540億円突破、実績平均利回り(年率・税引前)6.99%と高水準 |
企業情報 | 日本クラウド証券株式会社 |
設立 | 2013年4月 |
事業性資金
スマートレンド

スマートレンドは消費者への融資事業や保証事業を営む企業に特化して融資を行うソーシャルレンディングです。
事業性としてもリスクが低く、財務的にも優れており、経営関与度の高い企業を中心に融資を行いるようです。
日本だけではなく海外への融資も積極的に手がけていることも特徴として挙げられます。
項目 | 内容 |
---|---|
対応業種 | 中小企業、海外事業支援など |
手数料 | 投資口座への振込み:お客様負担 |
ポイント | 年末やGWなどの時期に特別ファンドが登場することがある |
企業情報 | SmartLend株式会社 |
設立 | 2015年10月 |
不動産系
不動産の物件や不動産投資に対するソーシャルレンディングサービスです。
LENDEX(レンデックス)

LENDEXは1年以内の短期投資を中心とした不動産投資のソーシャルレンディングサービスです。
大部分の投資案件に担保が設定されているのが特徴です。
利息は毎月分配で東急リバブルと業務提携を行なっています。
・ファンドの募集状況が見えること
・投資収益シミュレーションを行えること
から、初心者の方にもわかりやすいサービスサイトになっています。
項目 | 内容 |
---|---|
対応業種 | 不動産投資 |
手数料 | 投資口座への振込み:お客様負担 |
ポイント | ファンドの募集状況が見えることと投資収益シミュレーションを簡単に行う事もできる |
企業情報 | 株式会社LENDEX(レンデックス) |
設立 | 2000年8月 |
地方創生
さくらソーシャルレンディング

さくらソーシャルレンディングは、地方企業の資金調達を支援するソーシャルレンディングサービスです。
北海道、山陽、近畿、中部、九州の地域企業と密着しています。
項目 | 内容 |
---|---|
対応業種 | 地方企業 |
手数料 | 投資口座への振込み:お客様負担 |
ポイント | 地方企業へ融資を行うことで地方創生に役立つ可能性がある |
企業情報 | さくらソーシャルレンディング株式会社 |
設立 | 2016年9月 |
社会問題
Nextshift Fund(ネクストシフトファンド)

ネクストシフトファンドは貧困、医療、教育といった社会問題の解決を目指したサービスです。
カンボジアやジョージアなど、海外の農家さんを支援しています。
融資先のマイクロファイナンス機関の回収率は100%と、実績も確かなようです。
鳥取の企業ということで鳥取銀行が株主になっています。
項目 | 内容 |
---|---|
対応業種 | マイクロファイナンス機関、ソーシャルインパクト・ボンドなど |
手数料 | 投資口座への振込み:お客様負担 |
ポイント | マイクロファイナンス機関などへ融資を行うことで社会問題の解決に役立つ可能性がある |
企業情報 | ネクストシフト株式会社 |
設立 | 2016年10月 |
気になるサービスがあれば口座を作ってみよう
一口にソーシャルレンディングといっても、不動産投資や事業性資金など、目的に応じて得意分野が異なります。
このため、ソーシャルレンディングでの投資をお考えの方は、今回紹介したソーシャルレンディングの情報をもとに比較検討をしてみましょう。
自分が信頼できるサービスや案件を見つけて、ソーシャルレンディングを行うことが重要です。
なお、ソーシャルレンディングは元本保証の投資ではありませんので、余裕資金で行うこととリスクについても事前に確認した上で投資判断をして下さい。
コメントを残す