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経営セーフティ共済とは

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営している共済制度のこと。
仮に取引先が倒産してしまった場合に事業資金を速やかに借入れできるため、連鎖倒産を防ぐことができます。
法人はもちろん、個人事業主でも加入することができるのもポイントです。
経営セーフティ共済の特徴と4つのメリット
経営セーフティ共済の特徴と加入するメリットについて順に見ていきましょう。
掛金の税制優遇で高い節税効果
経営セーフティ共済は毎月掛金をする制度となっており、月額掛金は5,000円~20万円まで自由に選ぶことができます。途中で増額や減額も可能です。
12ヵ月前払いも可能なため、決算前の場合には一括支払いがおすすめです。
また、決算や確定申告の際に法人であれば掛金を全額損金算入することができ、個人事業主の場合には必要経費として算入できるので、節税効果があります。
無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能
共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。
共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ない方の金額となります。
返済期間は、5,000万円未満が5年、5,000万円以上6,500万円未満が6年、6,500万円以上8,000万円以下が7年になっており、全ての借入に6ケ月間の措置期間があります。
取引先が倒産後、すぐに借入れできる
取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。
中小企業の場合には銀行からの緊急融資枠を持っていない場合もあるため、いざという時の保険に加入しておくのも良いでしょう。
解約手当金が受けとれる
共済を解約した場合には解約手当金を受け取れます。
自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります。
なお、12か月未満は掛け捨てとなりますので、初年度の掛金は前納として12ヵ月分を一括で支払うことがおすすめです。
解約方法には以下の3つがあります。
- 契約者が任意のタイミングで解約できる「任意解約」
- 契約者の法人解散、個人の方の死亡など契約の継承が行われない場合に自動的に解約が行われる「みなし解約」
- 掛金の支払いが滞った場合や共済契約者による不正行為など共済側から解約する「機構解約」
解約手当金は事業所得となりますので解約のタイミングに注意をしましょう。
経営セーフティ共済のデメリット
経営セーフティ共済にはメリットもありますが、デメリットも無いとは言えません。事前に確認しておきましょう。
解約手当金は加入後12ヶ月未満は掛け捨て、40ヵ月未満は8掛け
途中解約した場合、加入後12ヶ月未満は掛け捨て(戻りがゼロ)、加入後40ヵ月未満で解約した場合は8掛けとなります。
支払金がすべて返ってくるわけではありません。
ただし、8掛けでも決算を超えて繰り越せるというメリットもあります。
手持ちのキャッシュがなくなる
共済金を支払うためには手持ちのキャッシュから支払わなければなりません。
途中で掛金の増減はできますが、ギリギリの金額ではなく少し余裕を見た金額を掛金として設定しておきましょう。
借入金額の10%が掛金から減額される
共済金は「無担保・無保証人・無利息」で、掛金の10倍まで借入れ可能ですが、借り入れた金額の10%分の掛け金が減額されます。
もし3,000万円の貸付を受ける場合は300万円の掛金が無くなるため、実質10%の金利と同じと思っておきましょう。
解約手当金は事業所得計算における収入になる
上述の通り、解約手当金を受け取る場合には、全額が事業所得計算における収入として計算されます。
分割しての解約ができないため、払い込んだ掛金の全額が一気に収入となります。
解約の時期としては、「赤字が出そう」「事業資金が必要でキャッシュフローの改善を測りたい」といった時期に行うのが良さそうです。
経営セーフティ共済の加入資格について
経営セーフティ共済は素晴らしい制度ですが、誰でも加入できるわけではありません。
加入資格を持つのは、1年以上継続して業務を行なっている会社や組合、個人事業主となっています。

- 企業組合
- 協業組合
- 共同生産、共同販売等の共同事業を行っている事業協同組合
- 事業協同小組合
- 商工組合
※医療法人、農事組合法人、NPO法人、森林組合、農業協同組合、外国法人等は加入対象になりません。
経営セーフティ共済に必要な書類

中小機構の様式書類を取り寄せる
まずは中小機構の様式書類を送ってもらう必要があるのでお電話(050-5541-7171)をするか、お問い合わせフォームから申請して電話を待つかとなります。
自分から電話をしてしまった方が確実に早いためお電話をかける方がおすすめです。
書類の中には制度の概要と契約申込書、掛金預金口座振替申出書、重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書などが同封されています。
法人、組合の提出に必要な書類
- 契約申込書
- 掛金預金口座振替申出書
- 重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書
- 業登記簿謄本または登記事項証明書 法務局発行の日から3か月以内の原本。
- 法人税の確定申告書(直近の決算書等の添付書類を含む) 所轄税務署の受付印があるもの。
- 法人税を納付したことを証する「納税証明書」 確定申告書に記載された中間、確定の税額を納付したことを証する領収書など。
なお、前年度が赤字やトントンくらいで法人税を支払っていない場合には、税務署に出した申告書でも大丈夫なようです。
個人事業主の提出に必要な書類
- 契約申込書
- 掛金預金口座振替申出書
- 重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書
- 所得税の確定申告書(直近の決算書・収支内訳書等の添付書類を含む) 所轄税務署の受付印があるものを提出。
- 所得税を納付したことを証する「納税証明書」 確定申告書に記載された予定、確定の税額を納付したことを証する領収書など。
- 確定申告書を作成するときに使用した帳簿等(白色申告書の場合)
加入申し込みができる窓口
上記の書類が用意できたら加入申し込みができる窓口へと行きましょう。
加入手続きは、中小機構と業務委託契約を締結している機関で、会員(組合員)となっている団体または融資取引がある金融機関の本支店の窓口で行う必要があります。
委託団体
商工会
商工会議所
中小企業団体中央会
中小企業の組合
損保ジャパン日本興亜株式会社
金融機関の本支店
都市銀行
信託銀行
地方銀行
第二地方銀行
信用金庫
信用組合
商工組合中央金庫
なお、金融機関の中でもゆうちょ銀行、農業協同組合、労働金庫、新生銀行、あおぞら銀行、外資系銀行、インターネット専業銀行等は、経営セーフティ共済をお取扱いしておりませんのでご注意ください。
経営セーフティ共済のサイトを見ると融資取引の記載しかありませんが、融資取引がなくても上記に含まれている金融機関に預金口座があり、12ヵ月以上の資金の出し入れが確認できれば大丈夫のようです。
ネット銀行は対象外なため支店のある銀行で口座を作るか、税理士さんが付いていれば相談して見た方が良いと思います。
利益が出ている場合には経営セーフティ共済の加入がおすすめ
経営セーフティ共済は
・取引先の倒産時に貸し付けが受けられること
・掛金が損金となるので節税になること
・解約しても掛金が戻ってくる
などのメリットがあります。
一方でいくつかデメリットもあるため事前に確認してから加入を検討してみましょう。
決算の直前でも12ヵ月分前納振込をすることで損金算入できるので、ある程度利益の金額が見えてから手続きを行うのが良いでしょう。
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